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教会暦

教会暦(きょうかいれき)とは、キリスト教で用いられる暦のこと。典礼暦(てんれいれき)ともいわれる。太陽暦の1年を周期とし、各日の起算は日没を以ってする。以下では教会暦を、正教会カトリック教会聖公会の具体例を挙げて説明する。

目次

正教会の教会暦

概説

正教会では教会暦にしたがって、移動祝日などが決められ、奉神礼(典礼)や誦読箇所・聖歌の配分、祭服の色などが決まる。現在では誦読箇所の配分は復活大祭を基準として一年を周期とするが、過去には三年周期で配分されたとの記録もある。

正教会の教会暦には二つの数え方がある。ひとつは9月を始まりとする一年に固定祭日を配したものである。9月を始まりとするのは、旧約時代からの伝統を継承する(ユダヤ暦の正月は9月である)ものである。太陽暦によるため、日は固定している。クロノロギオンと呼ばれる諸聖人および固定祝日を配置したイコンは、これに従って、9月と3月を区切りとする。

もうひとつの暦は、移動祭日である復活大祭を基準とする。他の移動祭日は復活祭によって決まる。また主日(日曜日)を初めとする年間の朗読も基本的に復活祭を基準として決まる。ただし、聖神降臨祭後は、聖神降臨祭を数える起点とする。また主の降誕祭など一部の祭日の前後には、これを基準に日を数え、誦読箇所を定めることがある。さらに祭日のための典礼を行う場合にも、誦読箇所や聖歌はその祭日に記憶する聖人や出来事によって決まる。

配列される主要な祭は、復活大祭や週ごとの聖体礼儀のように最初期に確立していたものを除くと、3世紀から6世紀にかけて確立していった。その他聖人の祭などは、絶えず増補がなされている。典礼暦は、固定化したものではなく、生きた伝統のなかにある。

また正教会の特色に、斎(ものいみ)の規定がある。斎は奉神礼の一部ではないが、信者の生活を規定する重要な要素であり、また典礼暦によって定められている。特別の祭日を除く水曜日および金曜日および特定の祭の前に一定期間行う斎がある。詳しくはおよび大斎の項を参照。

基本的構造

以下、現在の正教会の基本的な教会暦の構成を示す。固定祝日の日付はユリウス暦による表示をグレゴリオ暦に換算したものを示す(ロシア正教会およびエルサレム総主教庁などではユリウス暦を使用している)。

  • 復活大祭 聖大パスハとも。春分の後の満月の次の日曜日主日)。十字架行の後、王時課と呼ばれる復活大祭の典礼が行われる。祭服は白。ロシア系教会では赤も用いられる。復活大祭において王門(イコノスタシスの正門)が開かれる。復活大祭以降、聖神降臨祭までが復活節。復活節の間は、聖体礼儀の際にも伏拝を行わない。これは立拝が喜びの姿勢であるからである。
    •  光明週間 一週間毎日聖体礼儀が行われる(ただし日本では行われない)。この期間は王門(イコノスタシスの正門)が開放される。また一切の斎を行わない。
  • 聖神降臨祭 復活大祭の50日後。主日(日曜日)。祭服は緑。これ以降、大斎準備期間に入るまで、この日を基準に日を数える。この後の一週間は斎を行わない。
    • 諸聖人の主日(聖神降臨祭後第一主日) 聖神降臨祭の次の主日。この翌日より聖ペトロ・パウェル祭までは「使徒の斎」を行う。
  • 聖ペトロ・パウェル祭 7月12日。十二使徒の首座であるペトロと「異邦人の使徒」パウロの記憶。中祭。
  • 使徒フィリップの記憶日 11月27日より、「フィリップの斎」を行う。本来は40日で、西方教会の待降節にほぼ相当する。
  • 主の降誕祭 日本、ギリシア、アメリカの一部で12月25日。ロシアなどで1月6日(ユリウス暦の12月25日)。キリストの誕生と三博士の礼拝を記憶。主の洗礼祭までは降誕節
  • 大斎準備期間(Triodion)3週間にわたって大斎の準備期間がある。通常、聖神降臨祭後第32主日の翌日からはじまるが、年によっては第33主日の翌日からになる。
    この時期および大斎中におこなう祈祷は「三歌斎経」と呼ばれる聖歌集におさめられている。これは赦しと和解の時期であり、斎の節制が緩められ、主日には「放蕩息子の喩え」などの箇所が三週にわたって朗読される。そして「赦罪の主日」と呼ばれる大斎準備期間の最後の主日の晩課には、信者は互いに伏拝(相手の前に跪く姿勢)し、相手に犯した罪の赦しを請う。
  • 大斎 大斎(おおものいみ)は復活祭の前40日間(ただし土曜日と日曜日を除く)の節制の時期である。日曜日の日没、赦罪の晩課から始まる。祈りと節制の時期であり、多くの教会では、毎日公祈祷が行われる。司祭の祭服は土曜日と日曜日は紫、平日は黒を用いる。聖堂も黒布で覆ってきわめて厳粛なよそおいとなる。
  • 聖枝祭 復活大祭の一週間前。正式にはこれ以降は大斎には属さない。この日には、聖堂を花などの枝で飾る。
  • 受難週
    • この週は金曜日(聖大金曜日)を除き毎日聖体礼儀を行う。聖大スボタ(聖土曜日)晩課中に、祭服を白に改め、また聖堂の装飾を改める。詳しくは受難週の項を参照。

十二大祭と他の祭

上記の基本的構造に加え、いくつかの重要な祭日がある。特に重要なものを「十二大祭」と呼ぶ。復活大祭は別格に重要な祭であるため、十二大祭には含まれない。ほかに大祭・中祭・小祭があり、これは地域ごとに選択して祝う。なお中祭のうちには、ペトル・パウェル祭のように全世界的に祝われるものもある。

  • 主の洗礼祭 1月19日。ヨルダン川でのキリストの洗礼を記憶。神顕祭とも。これをもって降誕節が終わる。
  • 主の迎接祭 2月。キリスト生後40日に、マリヤが浄めのため神殿に詣でたところ、預言者シメオンらとであい、イエスがメシアであること等を予言されたことを記憶。
  • 生神女福音祭 4月7日。年により大斎の最中に祝われる。このときには大斎中であっても、魚がゆるされる。
  • 聖枝祭 復活大祭の一週間前。エルサレム入城を記憶。主日。正式にはこれ以降は大斎には属さない。
  • 主の昇天祭 復活大祭の40日後。キリストの昇天を記憶。木曜日。
  • 聖神降臨祭 復活大祭の50日後。主日。この後の一週間は斎を行わない。
  • 主の変容祭 8月19日。キリストの変容の記憶。
  • 生神女就寝祭 8月28日。神の母生神女マリヤが地上の生命から永遠の生命に移ったことを記憶。この直前に「生神女就寝祭の斎」を行う。
  • 生神女誕生祭 9月21日。神の母生神女マリヤの誕生。
  • 十字架挙栄祭 9月27日。コンスタンティヌス1世とその母ヘレナのエルサレムにおける十字架発見の記憶。
  • 生神女進堂祭 12月4日。
  • 主の降誕祭 日本、ギリシア、アメリカの一部で12月25日。ロシアなどで1月6日(ユリウス暦の12月25日)。キリストの誕生と三博士の礼拝を記憶。

以下は、上に加えて、現在、日本の正教会で守られている祭りの一部である。

ユリウス暦と修正ユリウス暦

1923年まで、全正教会はユリウス暦を使用していた。現在でもユリウス暦を使用する教会が数多く存在する。例を挙げれば、1900年3月1日から2100年2月28日まで、ユリウス暦使用教会の降誕祭12月25日)は日本で一般に使われているグレゴリオ暦の1月7日に相当する。1900年3月1日から2100年2月28日までのユリウス暦とグレゴリオ暦のずれは13日となるためである。

しかしながらグレゴリオ暦が、教会以外の世俗的な領域では東欧・東地中海地域などの正教会が優勢な地域でも導入されていく中、コンスタンディヌーポリ総主教庁はユリウス暦の修正を提案し幾つかの教会では受け入れられた。これが修正ユリウス暦であり、その計算方法の特徴から2800年まではグレゴリオ暦とのズレが発生しないようになっている。従って、降誕祭などの固定祭日は12月25日に祝われる。

ただし、太陽に関係する暦については修正ユリウス暦を受け入れた教会も、月齢に関係する部分については依然としてユリウス暦を使用しており、復活大祭とそれに関係して移動する祭日の計算結果は、ユリウス暦使用教会と同様のものとなっている(ただし、フィンランド正教会とエストニア正教会のみはグレゴリオ暦を使用)。

また、修正ユリウス暦に反対する意見も正教会には根強く存在し、その反発が昂じてユリウス暦を使用する一派を形成する教会・修道院も現れている。特にギリシャにおける反対派をギリシャ古暦派と呼ぶ。

カトリック教会の典礼暦

カトリック教会では、伝統的にその一年が待降節(アドベントとも)から始まり、「王であるキリスト」の祝いで終わるサイクルになっている。グレゴリオ暦を使用している。

カトリック教会では典礼暦にしたがって、移動祝日などが決められ、典礼や朗読の配分、祭服の色などが決まる。基本的に以下のような構成になっている。

  • 待降節 主の降誕を待ち、クリスマスを準備する期間であり、典礼暦の始まりである。主の降誕の3週前の前の日曜日からクリスマスの前日まで。
  • 主の降誕 主の降誕を祝う祝日。12月25日。
  • 聖家族の主日 12月の最終日曜日(12月25日が日曜日の場合は12月26日)
  • 降誕節 「主の降誕(クリスマス)」から始まり「主の公現」にいたる期間である。
  • 主の公現 1月2日から8日の間にある日曜日
  • 主の洗礼 「主の公現」の次の日曜日(主の公現が1月7日又は8日の場合はその翌日)
  • 年間主日 年間主日といわれる日曜日は通常33から34あり、それぞれ「年間第~主日」といわれる。年間主日は四旬節に入るといったん中断する。
  • 灰の水曜日 復活祭の46日前の水曜日
  • 四旬節 復活祭を準備する時期であり、「灰の水曜日」から始まり「聖木曜日」に終わる。
  • 受難の主日(枝の主日) 復活の主日の1週間前
  • 主の過ぎ越しの聖なる三日間 復活の主日(日曜日)前の木曜日、金曜日、土曜日の三日間であり、特別な典礼がおこなわれる。
    • 聖木曜日(主の晩餐) 最後の晩餐の記念がおこなわれる。司祭職の制定の日であるとみなされている。
    • 聖金曜日(主の受難) イエスの受難を思い起こす日であり、ミサはおこなわれない。
    • 聖土曜日(復活徹夜祭) 土曜日の夜、復活徹夜祭といわれる夜中のミサがおこなわれ、復活が祝われる。本来は日曜日に切り替わる深夜12時におこなわれるものだが、信徒の都合を配慮して土曜日の夕方から夜にかけてミサがおこなわれることが多い。
  • 復活の主日 年間を通じ、キリスト教の最も大きな祝い日である。イエスが十字架上でなくなってから三日目に復活したことを記念する。移動祝日といって日付が固定しない祝日である。春分の日のあとの最初の満月の直後の日曜日。(2008年は3月23日)
  • 復活節 主の復活を祝う期間。復活の主日から49日の間。
  • 主の昇天 復活後のイエスが弟子たちの前から天に昇ったことを記念。復活祭からかぞえて六回目の主日の後の木曜日が正しい日付けであるが、キリスト教国でない日本では信徒の都合を配慮して日曜日に祝われる。
  • 聖霊降臨の主日(ペンテコステ) 主の昇天の木曜日から10日後の日曜日。(日本では翌週の日曜日。)弟子たちの上に聖霊が下ったことを記念。キリスト教会が誕生した日であると考えられている。
  • 三位一体の主日 聖霊降臨の1週間後
  • キリストの聖体 聖霊降臨の2週間後
  • イエスのみこころ 「キリストの聖体」の直後の金曜日
  • 年間主日 中断していた「年間」の時期が再開する。年間は「王であるキリスト」の主日で終了し、降誕節から新しい典礼暦が始まる。
  • 主の変容 8月6日
  • 諸聖人の日 11月1日 固定祝日。すべての聖人の祝い日。
  • 死者の日 11月2日 すべての死者のために祈る日。
  • 王であるキリストの主日 移動祭日。年間の最終主日。

他にもフランシスコ・ザビエル12月3日など、聖人の祝日・記念日が特定の日にあてられている。一般的に聖人の祝日はその聖人の亡くなった日になっている。(聖人暦参照)

聖公会の教会暦

聖公会では聖餐式中に旧約聖書使徒書福音書の朗読と詩篇の交唱が行われるほか、朝夕の礼拝においても日課として聖書朗読が行われる。朗読箇所は、聖餐式が3年サイクル(A年、B年、C年)、朝夕の礼拝が2年サイクル(第1年、第2年)で指定されており、これを聖書日課と称する。聖書日課表は祈祷書に収録されているほか、毎年の教会暦に従って「教会暦・日課表」が年ごとに作成される。なお、聖餐式で朗読される聖書箇所を抜き出した「聖餐式聖書日課」がA年、B年、 C年用と3種類作られ、用いられている。

日本聖公会では祈祷書によって祝日を定めている。祝日の種類は次の通りである。

祝日・記念日

  • 主要祝日

復活日(イースター)、昇天日聖霊降臨日三位一体主日降誕日顕現日諸聖徒日

  • 主日に優先して守られる祝日

主イエス命名の日、被献日、主イエス変容の日

期節

  • 降臨節 (イエスの誕生を待ち望むための節)
  • 降誕節 (イエスの誕生から顕現までの節)
    • 降誕日 (クリスマス、12月25日)
    • 主イエス命名の日(1月1日)
  • 顕現節
    • 顕現日(1月6日)
    • 顕現後第一主日・主イエス洗礼の日
  • 大斎節 イエスの受難を偲び、復活日まで悔い改めを行う節。
    • 大斎始日(灰の水曜日)
    • 聖週(扱いは大斎節)
      • 復活前主日
      • 復活前月曜日
      • 復活前火曜日
      • 復活前水曜日
      • 聖木曜日
      • 聖金曜日・受苦日
      • 聖土曜日
  • 復活節 イエスの復活を記念する節。
    • 復活日
    • 復活後月曜日
    • 復活後火曜日
    • 復活後水曜日
    • 復活後木曜日
    • 復活後金曜日
    • 復活後土曜日
    • 昇天日
    • 復活節第7主日・昇天後主日
    • 聖霊降臨日(ペンテコステ) 使徒に聖霊が降臨したことを記念する日。
  • 聖霊降臨後の節
    • 聖霊降臨後第1主日・三位一体主日
    • 聖霊降臨後第2主日~聖霊降臨後第27主日(27までない年もある)
    • 聖霊降臨後最終主日・キリストによる回復(降臨節前主日)

関連項目

[ 教会暦 ]の改訂履歴 出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』
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関連リンク


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